映画賞のひとつ『FIPRESCI賞』をご存知ですか?
ヴェネツィア国際映画祭とカンヌ国際映画祭映画祭の会期中に、映画批評家やジャーナリストで組織されたFIPRESCI(国際映画批評家連盟)が、前例のない新しい映画であるものを選出し報奨する独立した賞です。
今回は、ヴェネツィア国際映画祭のFIPRESCI賞を受賞した作品で、過去20年のなかから日本でも話題になった作品をご紹介します。よく耳にするアカデミー賞を受賞した作品、元のヴェネツィア国際映画祭の賞も受賞している作品もあり、FIPRESCI賞受賞作品はかなり良作であることがわかるラインナップになっています。
開催年 | 作品名 | 監督 | 製作国 | 主演 |
2010年 | 該当作品なし | - | - | - |
2011年 | SHAME -シェイム- | スティーヴ・マックイーン | イギリス | マイケル・ファスベンダー、キャリー・マリガン |
2012年 | ザ・マスター | ポール・トーマス・アンダーソン | アメリカ合衆国 | ホアキン・フェニックス、フィリップ・シーモア・ホフマン |
2013年 | トム・アット・ザ・ファーム | グザヴィエ・ドラン | カナダ | グザヴィエ・ドラン、ピエール=イブ・カルディナル リズ・ロワ |
2014年 | ルック・オブ・サイレンス | ジョシュア・オッペンハイマー | デンマーク | アディ・ルクン、アミール・シアハーン |
2015年 | 私の血に流れる血 | マルコ・ベロッキオ | イタリア | ロベルト・ヘルリッカ、アルバ・ロルバケル |
2016年 | 女の一生 | ステファヌ・ブリゼ | フランス | ジュディット・シュムラ、スワン・アルロー |
2017年 | エクス・リブリス ニューヨーク公共図書館 | フレデリック・ワイズマン | アメリカ合衆国 | タナハシ・コーツ、ポール・ホルデングレイバー |
2018年 | サンセット | ネメシュ・ラースロー | ハンガリー | ユリ・ヤカブ、ブラド・イバノフ |
2019年 | J'accuse(原題)/ アン・オフィサー・アンド・ア・スパイ(英題) |
ロマン・ポランスキー | フランス | ジャン・デュジャルダン、エマニュエル・セニエ |
ザ・マスター 2012年受賞
第2次世界大戦が終戦し、アメリカへ戻ってきた帰還兵のフレディは、PTSDやアルコール依存症により社会生活に適応できていませんでした。
そんなある日、フレディは宗教団体の“マスター”と呼ばれるランカスター・ドッドに出会います。
ドッドの独自の心理療法で、フレディは次第に心の平静を取り戻していきます。フレディとランカスター、ふたりの2人の絆が深まっていくなか、不穏な雰囲気も漂い…。
主演は「サイン」「ジョーカー」のホアキン・フェニックスと、「カポーティ」「ハンガー・ゲーム」シリーズのフィリップ・シーモア・ホフマンです。ふたりそろってヴェネツィア国際映画祭で男優賞を受賞しています。
SHAME -シェイム- 2011年受賞
ニューヨークのサラリーマンであるブランドンは、強い性衝動に悩まされるセックス依存症でした。
電車でも、会社でも悶々と考え込んでいますが、そんな姿は普段関わる人には一切見せません。
ただし、徐々にその性欲は際限をなくしはじめています。ある日、恋愛依存症の妹シシーがブランドンのもとに転がり込んできて、薄氷の一枚の上で成り立っていた日常が大きく崩れていき…。
主演のブランドン役は「X-MEN」シリーズ「スティーブ・ジョブズ」のマイケル・ファスベンダーです。ヴェネツィア国際映画祭で男優賞を受賞しました。
監督のスティーヴ・マックイーンがてがけた、アカデミー賞の作品賞を受賞作品「それでも夜は明ける」にもマイケル・ファスベンダーは出演しています。
クィーン 2006年受賞
1997年、ダイアナ元皇太子妃が事故で急逝した直後のイギリス王室や政治の舞台裏を描いた作品です。
伝統としきたりを重んじる威厳あるエリザベス女王は、王室とはもう関わりのない者の死にかたくなです。
そんな女王の態度に国民達の不満の声が起こりはじめ、就任直後の首相トニー・ブレアが王室と世論の間を奔走します。
エリザベス女王役は、「英国万歳!」「マダム・マロリーと魔法のスパイス」の名女優ヘレン・ミレン、ブレア首相役は「アンダーワールド」シリーズや「パッセンジャー」のマイケル・シーンです。
ヘレン・ミレンはこの作品でアカデミー主演女優賞を受賞しました。
グッドナイト&グッドラック 2005年受賞
ソ連との冷戦が激しくなり、共産党員が公職から追放される「赤狩り」が台頭する1950年代初めのアメリカ。
実在した人気ジャーナリストであるエドワード・R・マローと番組スタッフが、真実の報道と自由を守るために権力に立ち向かう姿を描いたノンフィクションドラマです。
主演のマロー役は「ボーン」シリーズや「リンカーン」などのデヴィッド・ストラザーンです。
監督・脚本・出演は「オーシャンズ」シリーズのジョージ・クルーニーです。この作品はヴェネツィア国際映画賞で脚本賞も受賞し、デヴィッド・ストラザーンは男優賞を受賞しました。
マルコヴィッチの穴 1999年受賞
人形使いですが定職のないクレイグは、求人広告でみつけたマンハッタンにあるオフィスビルの7と1/2階にある天井の低い奇妙な会社に就職します。
美人の上司に心奪われつつ、ある日、会社のキャビネットを動かすと、壁に小さなドアがあることに気付きます。実はそれが有名俳優ジョン・マルコヴィッチの頭の中へと続く穴で…。
主演は「セル」「ハイ・フィデリティ」のジョン・キューザック、「ナイト&デイ」「ギャング・オブ・ニューヨーク」のキャメロン・ディアスです。
「RED/レッド」「バーニング・オーシャン」のジョン・マルコヴィッチは本人役で出演しました。
FIPRESCI(国際映画批評家連盟)は、メンバーにジャーナリストが多いこともあり、進取的な映画、歴史の新たな側面を切り取ったものや、人間の内面を深く掘り下げ描く社会ドラマ映画に贈られることが多いようです。
1999年からは、団体が独自にグランプリ映画作品を選出し授賞していますので、そちらも興味をもって鑑賞してみてはいかがでしょうか。 どれもオススメです。